ハムスターを飼ったことがある人なら、きっと見覚えのある場面かもしれません。
ある日、ケージの掃除をしているとき。
床材を替えているとき。
あるいは、手のひらにそっと乗せたとき。
体のどこかに、小さくて硬いしこりを感じる。
その瞬間、多くの人の頭に浮かぶのは——
「腫瘍?」
「何か間違ったものを与えた?」
「もう手遅れなのでは?」
まず最初に、はっきり伝えておきたいことがあります。
ハムスターは、小動物の中でも腫瘍の発生率が比較的高い動物です。
そしてそれは、「あなたの飼い方」よりも「ハムスターという生き物の特性」による部分が大きいのです。
ハムスターの一生は、とても短い
ハムスターの寿命は短めです。
多くの場合、平均寿命は 1.5〜3年ほど。
人間にとっては「まだそんなに経っていない」時間でも、
ハムスターにとっては、すでに中〜後期のライフステージに入っています。
つまり——
他の動物では高齢期に見られる問題が、ハムスターでは早く現れるということ。
腫瘍も、そのひとつです。
多くのしこりは、突然できたように感じても、実際には静かに時間をかけて進行しています。
種類によって、腫瘍の出やすさは違う
すべてのハムスターが同じではありません。

ゴールデンハムスター(シリアンハムスター)
「腫瘍ができやすい」と言われることが多い種類です。
よく見られるのは:
- 皮下のしこり
- 乳腺系の腫瘍
- リンパ系の腫瘍
特徴として:
- 脇腹・胸・首など、触って分かりやすい位置
- 成長が比較的早い
- ある日突然気づくことが多い
「昨日まで気づかなかったのに…」という声も少なくありません。

ドワーフハムスター(ジャンガリアン、キャンベルなど)
外から分かる腫瘍は少なめですが、問題が見えにくい傾向があります。
考えられるのは:
- 内臓系の腫瘍
- 消化器や臓器の不調
見た目よりも、次のような変化として現れることが多いです:
- 食欲が落ちる
- 体重が少しずつ減る
- 動きが鈍くなる
そのため、「年を取っただけかな」と思われがちです。
なぜ、気づいたときには進んでいることが多いの?
これは、飼い主が不注意だからではありません。
理由はいくつかあります:
- 体がとても小さい
- 毛が多く、外見の変化が分かりにくい
- 本能的に不調を隠す
そのため、触って分かる頃には、すでにある程度進行していることが多いのです。
比較的リスクが低いとされるハムスターは?

よく別枠で語られるのが、**ロボロフスキーハムスター(ロボ)**です。
特徴として:
- 動きが非常に速い
- 抱っこが苦手
- 観賞向きの性格
健康面でも、ゴールデンとは傾向が異なります。
一般的な印象としては:
- ゴールデン:腫瘍リスク高め
- ドワーフ:中程度
- ロボロフスキー:比較的低め
同じハムスターでも、リスク構造は一様ではありません。
ファットテールジャービルについて

ファットテールジャービルは、真正のジャービル類です。
多くのエキゾチック獣医や飼育者の経験では:
- 腫瘍の発生率は全体的に低い
- 皮下腫瘍はまれ
- 病気よりも自然な老化が多い
飼育者が少ないため情報は限られていますが、体感的には次のように語られることが多いです。
ゴールデン > ドワーフ > ロボロフスキー ≈ ジャービル類
むしろ多いのは:
- 歯のトラブル
- 外傷
- 代謝・体重管理の問題
食事や環境は影響する?
影響はありますが、決定的ではありません。
考えられる要因:
- 高脂肪・高糖質の食事
- 運動不足
- 繁殖経験(特にメス)
ただし重要なのは:
どれだけ丁寧に飼っていても、腫瘍ができることはあります。
完全に防げるものではありません。
治療について、現実的な話
一番つらい部分です。
ハムスターは麻酔に非常に弱い動物です。
手術が技術的に可能でも、リスクは高くなります。
獣医師は通常、次を総合的に判断します:
- 年齢
- しこりの成長速度
- 食事や行動への影響
- 生活の質(QOL)
経過観察とケアを選ぶことも多く、それは「諦め」ではありません。

飼い主にできることは、思っているより多い
大切なのは、慌てて何かをすることではなく:
- 食欲と活動量を観察する
- 環境と生活リズムを安定させる
- 不要な刺激を避ける
- 必要に応じて異動物対応の獣医に相談する
ハムスターにとっては、
安心して、穏やかに過ごせる時間が何より大切なこともあります。
もし今、同じ状況に直面しているなら、覚えておいてください。
それは失敗でも、怠慢でもありません。
気づき、悩み、知ろうとしている時点で、あなたは十分に向き合っています。